今なお続く、全土全空域の米軍占領。そして、日本国民に対する人権蹂躙

 

(矢部)これがキャンプ・フォスターという米軍基地を北側から撮った写真です。

023
普天間の基地キャンプ・フォスター

 

(矢部)この左上に見えているのが普天間基地の滑走路で、右上に見えている海岸線は1945年に米軍が上陸して来た海岸なんですね。そして真ん中が米軍の住宅です。この基地の中には司令部があるんですが、その他に米軍の家族が住む住宅地区がいくつかある。

(高野)(米軍)将校用の住宅ですよね。

(矢部)はい。こういう非常に良い場所を占拠して、70年間ずっとそのまま居座っているっていうのがすぐに分かる。

(高野)これ知っています? 僕、最初に沖縄に行った時に(案内をしてくれた人に)説明されて、絶句したんです。この(米軍)将校たちは家族と一緒に住んでいますよね。それで、夏休みはバケーションでアメリカ本土に1ヶ月帰ると。(その間、家の)中のクーラーをつけたままで。「帰って来た時暑いのは嫌だから」って言って。芝生のスプリンクラーも回しっぱなしで行くんですよ。電気も水も貴重な沖縄で、ですよ。それが僕は、その時、本当に衝撃だったんですけど、それが針金のフェンスから見えるんですよ。(案内してくれた人が)「あの家も(スプリンクラー回しっぱなしですが)留守ですよ」って説明するんですよ。「1ヶ月つけっぱなしで行くんですか?」(と唖然とした)そういう場所ですよ。

(鳩山)スプリンクラーは回しておかないと枯れてしまうからでしょうけれども、少なくともエアコンは当然切るべきですよね。信じられない。

(矢部)次に、これが普天間基地ですね。

024
普天間基地所属の米軍ヘリ飛行ルート

 

(矢部)普天間基地から飛び立った(米軍)ヘリの旋回訓練の航跡です。ここ(中央上部)にぽっかりと飛んでいないところが、今ご覧いただいた米軍住宅地のあるキャンプ・フォスターです。(米軍住宅地の上だけ)見事に飛ばないわけですよ。
一方ですね、左下の沖縄県民の暮らす住宅密集地域、先程、本で見せたような繁華街や2004年に米軍ヘリ墜落事故が起きた沖縄国際大学があるようなところでは、こんな無茶苦茶な低空飛行訓練をやっているんです。
なぜかというと、これは伊波洋一さんのご研究ですけれども、結局アメリカ本国では米軍機は住宅地の上は飛べないわけですよね。(米国では)環境法が厳しくて。本国と同じことを(沖縄でも)米国民に対してだけ適用している。だから、やっている方に罪悪感はない。米軍関係者としては、自国の法律に従っているだけ。
ただ、それを横に並べてみると、ものすごくグロテスクな絵ですよね。日本人の家の上ではどれだけ低空でも飛べるけど、アメリカ人の家の上だけは避けると。(沖縄には、米国の)憲法や法律で人権が保護されている米国人と、(日本の法体系で)保護されていない日本人がいると。
それは、さっきの岡田さんの放射能の防護服姿と共通しているわけです。岡田さんはあの時ジャーナリストから質問されて、「自分たちは規則に従って(防護服を着て)いるだけだ」って言ったそうですが、その風景を見たら違う法律が適用されているわけですよね。日本では、人権が保護されている(権力側の)人と、されていない(その他大多数の)人がいる。

 

(高野)もう一度言いますけど、さっきの写真は、福島を訪れた与党の岡田元幹事長だけが完全に放射能を防護していた。政府与党の立場から「安全です。心配ない」って言っている人がそういう防護した格好をしていて、現地の人たちは皆そのまま何もしないで、マスク一つしないでいるという姿ですよね。

(矢部)要するに、両者は同じ日本人のはずなのに、なぜか違う法が適用されている。それはなぜかという問題を探っていきました。次は最近有名になってきましたけど、ラプコンという、

 

(矢部)米軍が管理する空域というのがあって、沖縄などは、こういう風にもともと上空が全部すっぽり米軍に支配されているわけですね。沖縄は形式的には2010年に返還されたことになっているわけですけれども、現在も(米軍支配の)実態は変わっていない。

(鳩山)高さは?

(矢部)6,000メートルですね。半径90キロだから、ぽっかり・・・。要するに、沖縄の上空は全部米軍が支配しているわけですよ。

(高野)沖縄に行きますと、ずいぶん手前から海すれすれに飛行して行く。海がきれいだから、僕は一番最初の時は、海がよく見えるようにサービスしてくれてるのかと思ったら違うんですね。(米軍管理空域を避けて)一番低いところを通って行かなきゃいけないんですよね。

(矢部)那覇飛行場に着陸する日本の飛行機の航路と、嘉手納基地に下りて行く米軍機の航路は、ほぼ直角にクロスしている。そして安全な上の方を米軍が取っているから、日本の飛行機はその下で危険な飛行を強いられている。

(鳩山)それは首都圏にある横田ラプコンも同じですよね。

(矢部)そうなんですよ。

(鳩山)日本全体がそうなんですよね。だから、これは(日本全土が米軍に占領されていることは、日本国民全員の問題ですから)「沖縄の人だけが可哀想」っていう話じゃないんですよ。

 

(矢部)それで、「どうして日本の家の上は無茶苦茶な低空飛行ができるのか」という謎の正体が、これなんですよ。適用外除外条項というものがあるんです。

(鳩山)「日米地位協定と国連軍地位協定の実施にともなう航空法の特例に関する法律第3項、前項の航空機、米軍機と国連軍機およびその航空機に取り組んでその航空法第6章の規定は政令で定めるものを除き適用しない」

(矢部)この条文で(米軍機と国連軍機には)適用しないと言っている航空法第6章というのは、航空機の運航に関する第17条から99条、つまり最低高度、制限速度、飛行禁止区域などの安全に運航するための規定が全部適用除外になっているわけです。

(鳩山)米軍機と国連軍機には適用されないと。

(矢部)この適用除外というのが非常に恐ろしいキーワードだということです。(適用除外条項を設定する権限を持つ者は、法律を超える存在になる)

(鳩山)少し複雑な話になってきましたが、非常に重要なことを言っています。

(矢部)どうしてそういう適用除外条項が作られているかというと、国際法のヒエラルキーというものがあって、

日米地位協定による日本の国内法の流れ

 

(矢部)占領の終結時に講和条約を結んで、それにもとづいて安保条約が結ばれて、それにもとづいて日米地位協定が結ばれているわけです。こういう条約を結ぶと、一般の国内法というのは条約よりも下位にありますから、結んだ条約に合わせて(国内法の対処として)特別法が作られたり、一部変更されたりする。
今言った航空法の適用除外条項は、この条約国内法というものです。後で言いますけれども、上位にある条約で米軍機に完全に自由を与えているから、下位にある国内法の方でこういう適用除外条項を作らないといけなかったということです。

(鳩山)条約というと難しく感じますが、日本人は法律を守らなければいけないんですが、その法律の体系の上位に条約というものがあると。

(矢部)条約というのは普通の法律よりも上位にあるんですね。

(鳩山)その点をまず確認していただきたいと思います。さらにその上に複雑な仕組みがあるということが後で分かってまいります。

(矢部)今申し上げましたように、ラプコン、空域というものがあって適用除外条項もありますから、日本の上空は米軍に100%支配されている。ところが、地上(日本全土)も実は潜在的には100%(米軍に)支配されているということが、もう一つの日米の取り決めによって決まっている。

日米行政協定に関する議事録

 

(鳩山)これは日米行政協定ですか?

(矢部)これは行政協定ですらなく、行政協定に関する議事録です。これが後で出てくる『日米合同委員会』というところで合意された議事録で、ここで決まったことは日本の憲法の上位にある。それは完全に証明された事実なんです。

(矢部)「日本の当局は所在地のいかんを問わず合衆国軍隊の財産について捜索、差し押さえ、検証を行なう権利を行使しない」。
我々は法律の文書に慣れていないから、スラっと読んでしまうんですが、これは本当に無茶苦茶な条文です。この下線の部分が、「米軍基地の中の」合衆国の財産についてというのなら、米軍基地内は治外法権だという意味ですから、まだあり得る。大使館なども治外法権ですから。ところが「所在地のいかんを問わず」アメリカ(米軍)の財産について、「捜索、差し押さえ、検証を行う権利を行使しない」って、サラっと、無茶苦茶なことが書いてある。

(高野)これは分かりやすく言うと、たとえば米軍の墜落したヘリコプター、これは米軍の財産ですから、どこに落ちようと、それを日本の警察なり何なりが、捜索したり差し押さえたり検証もできない。

(矢部)一切手が出せない。それが非常にあらわになったのが、次の非常に有名な沖縄国際大学への米軍機墜落事故です。

沖縄国際大学への米軍機墜落事故

 

(鳩山)これは高野さんが今まさに話をされたヘリの墜落の事故ですよね。

(矢部)2004年ですね。この時まず米軍がやって来て、規制ロープを張って、市民たちを「アウト! アウト! ゲラウト!」と言って追い出した。日本の警察などは米軍の許しを得ないと、大学構内に入れなかった。大学の関係者も市長も外務省の人間も入れてくれないから、さすがにこの時は(米軍と日本政府に)批判が集中したわけですよね。
これがヘリの墜落の跡です。

沖縄国際大学の米軍機墜落事故現場

 

(高野)削れちゃっているんですよね。