日本の首都に君臨し、日本政府を牛耳る日米合同委員会

 

(矢部)これを見て、(本土の人達は)「沖縄の人は可哀想だな」と思うんだけれども、さっき鳩山さんがおっしゃったように、本土でもまったく一緒だということが、調べると分かってくるんです。
『日米地位協定入門』という、元琉球新報の論説委員長で、今はこのヘリの墜ちた沖縄国際大学の教授になっている前泊さんを中心に作った本で、この問題を徹底的に追究しました。なので、最近「週刊ポスト」とか東京新聞といったメジャーなメディアが取り上げてくれるようになったんです。

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米軍支配空域を避けて通る日本の航空機航路(首都圏上空)/週刊ポスト2014年10月10日付 

 

(矢部)要するに沖縄と同じく、東京など日本の首都圏の上空には米軍が管理する巨大な空域があって、日本の飛行機はそこを飛べないわけですよね。鳩山さんのような方が、この現状を国際社会に訴えていただいたら、それだけで今、日本人の置かれている状況というのが、すごくよく分かると思うんですけれど。

(高野)前泊さんの本についているこの図を出した方が分かりやすいかもしれないですね。立体になっているのですけど、後で追加しても良いけど。まあ何て言うか、これは高さ7,000メートル。

(矢部)だから、エベレストと同じ。

(高野)エベレストぐらいの高さまで、首都の空は米軍管理になっていると。であるがゆえに、羽田も自由に高度を設定することができない。迂回しなきゃいけないと。

(矢部)非常に危険なんですよね。たとえば天候が悪くてヒョウとか降ってきた時に、空域側によけたいんだけど、よけられないということを多くのパイロットの方が証言しています。
次は今年(2014年)の東京新聞の11月14日に載った記事です。

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(高野)左上に立体の図がありますね。

(矢部)見出しに「米軍の占領 先進国に例なし」と書かれている。一般紙としては、やっと踏み込んだ表現をしてくれるところが出てきた。

(高野)70年間続いていることを。

(矢部)ただ、さっきの「週刊ポスト」も東京新聞も、「交通が阻害されているじゃないか」「本当は大阪まで30分で行けるのに1時間かかっている」という記事なんですけど、この問題の本質はそんなところにはないということを知っていただきたい。
結局、こういう巨大な空域があって、・・・

横須賀、厚木、座間、横田という超巨大基地から六本木ヘリポートまでを繋ぐ米軍ヘリ

 

(矢部)その中は太平洋上から日本が管理できませんから、自由に国外から米軍機が飛んで来るわけですね。その下には、南から横須賀、厚木、座間、横田という沖縄並の超巨大な米軍基地が4つもあって、その中は完全な治外法権になっている。結局、このことの意味は「日本には国境がない」ということなんですね。勝手に国外から飛んできて、米軍基地に着陸し、勝手に(米軍基地の)フェンスの外に出る。

(高野)(日本の首都圏に)穴が開いているってことですね、アメリカ向けに。

(矢部)そうです。これは分かりやすく言うと、スノーデン事件の時に「バックドア」っていう概念があったじゃないですか。表面上はデータを厳重に管理しているんだけど、バックドアがあって、アメリカの政府だけはそこを通って情報にアクセスしていたと。(それと同様に)日本には一応国境があって、皆、パスポート・コントロールを通ってるんだけど、米軍基地というバックドアがあって、(アメリカの要人は)自由に出入りしていると。

(高野)これはアメリカへのドアですよね。

(矢部)そうですね。

(鳩山)六本木ヘリポートという米軍基地を、私もわりと最近、ビルの上から見た。六本木のような都心にあるので、「何なんだ、これは」って聞いたら、「これは米軍基地だ」と。

(矢部)この空域の外に六本木ヘリポートがあるので、(米国の要人たちは)リムジンなどで都心に来るのかと思ったらそうじゃなくて、ヘリで六本木に飛んで来る。 後ろが六本木ヒルズという高層ビルです。 この問題を非常にクリアに言えるのは、すごくしっかりした弁護士事務所がついて、40年間ずっと米軍基地反対運動を(都心の住民たちが)六本木でやっているんです。米軍基地反対運動と言ったら、沖縄のことだけだと思っていますが、六本木でもかなり激しい反対運動をしているんですね。
これが六本木ヒルズの上から見たところですね。

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六本木ヒルズから観た星条旗新聞社(中には日本の先端技術の情報収集をするCIA)と米軍ヘリポート

 

(矢部)上の方に新宿の高層ビルが見えます。そういう位置です。これが全体像なんですけど、右上にあるのが六本木ヘリポートで、その左下にある四角い建物が星条旗新聞社。

(高野)Stars and Stripes。

(矢部)その左上が宿泊施設(ホテル)。ですから、六本木のこれは小さいけれども、フェンスがあって、宿泊施設があって、オフィス棟があって、軍用機が発着できるから、フルスペックの基地なんです。
反対運動をしている人たちが作っている資料によると、この星条旗新聞社の中には、主にCIAの日本の先端技術の情報収集をするような部隊が入っている。
ここでもう一つ、そうやって国境がないということの意味が・・・

東京のど真ん中に君臨するニューサンノー米軍センター

 

(矢部)ここ(六本木ヘリポート)からアメリカ大使館も5分くらいで行けるんですが、もう一つ非常に重要な施設があって、ここから外苑西通りを下ると、ニュー山王ホテルがある。

(鳩山)私も何度も行きましたよ。

(矢部)それは非常に貴重な・・・。

ニューサンノー米軍センター(日米合同委員会が行なわれる)

 

(高野)1983年頃、新しく建ったんですよね。

(矢部)日本で言う時の名前はホテルとなっていますけれども、これは軍事基地で、正式名称はニューサンノー米軍センターと言います。米軍基地なんです。そして、ここで行なわれているのが、問題の『日米合同委員会』なんです。

平成24年2月現在 外務省ホームページより
日米合同委員会の組織図(拡大版はコチラ

 

(矢部)月に2回ですけど、ここで1回、それから外務省が設定した場所で1回ずつ行なわれていると言われています。

(鳩山)いよいよ本丸に入ってきていますね。

(矢部)それで、先程から話に出ている「官僚たちが首相鳩山ではない何か別の者に忠誠を誓っていた」というお話ですが。その「何か」とは、この60年間続いている『日米合同委員会』という米軍と日本の官僚の共同体なのではないかということを、この本で書きました。

(鳩山)米国の政府と日本の政府(選挙で選ばれた政権政党同士)ではなく、在日米軍と日本の官僚のトップクラスがメンバーなんですよね。毎月二度、秘密の会合をしている。

(矢部)これは一応(建前としては)米軍関係の問題について協議する機関なんです。ところが、30いくつの部会に分かれて協議しているわけですけど、日本全土に基地を置いているわけですから、(当然、軍事関係だけではなく)あらゆる問題がそこに入ってくる。

(高野)こうやって見ると、(日本の国政の)すべてのことについて米軍と相談しながら、日本政府は日本という国を運営していると。

(矢部)非常に重要なのはここです。『日米合同委員会』とありまして、日本側代表、アメリカ側代表といるわけですけれども、
日本側の代表は外務省の北米局長。重要なのは、代表代理で法務省大臣官房長というポストがあるんですよね。
だから、代々法務省の大臣官房長がこの『日米合同委員会』のメンバーになるわけですが、なんと法務省のトップである事務次官の中に、この大臣官房長経験者が占める割合は、過去17人中12人なんです。さらにそのうちの9人は、次官より格上の検事総長になっている。だから、この60年間、米軍と日本の官僚が問題を協議するこの『日米合同委員会』が検事総長を出すというシステムができているということ。

(高野)ここ『日米合同委員会』でちゃんと米軍と仲良くなっておかないと、次官や検事総長には、なかなかなれないと。

(矢部)なれない。日本の法を司るヒエラルキーのトップに位置する検事総長が、この共同体『日米合同委員会』のメンバーであると。
そして後でご説明しますが、砂川裁判最高裁判決というものによって、日本の最高裁は事実上、機能しなくなっているわけです。つまり、日本の法的な権力は、(最高裁ではなく)この『日米合同委員会』が握っている。しかも、それが60年続いている。これが個々の官僚の問題ではないというのは、法務省大臣官房長とか、北米局長とか、日本の本当のエリート官僚がメンバーになっていますけれども、彼らの上司、そのまた上司、さらにその上司・・・という風に、全部この共同体のメンバー(代々の出身者)だから、絶対に逆らえない構図なわけです。しかも、60年間、それなりにギリギリの交渉をしていろいろなことを決めてきた経緯がある。

(高野)逆に言えば、占領軍の延長としての在日米軍は、この『日米合同委員会』を通じて自分たちの特権を維持してきたというわけですね。これはすごいシステムですね。

(鳩山)私はこの存在は、総理の時はまるで知らなかった。誰もそういう話はしてくれませんでしたしね。

(矢部)今この話をお聞きになって、いかがでしょう。

(鳩山)唖然としますよね。私は日米関係は正しい方向に見直さなきゃいけないという思いはあった。(以前から)いわゆる郵政民営化とか、ああいう問題に関しては一方的に日本がアメリカの要求を飲むようなシステムができていた。その根源は、私は日米規制改革委員会だという風に思ったもんですから、日米の規制改革委員会というのは止めようという話で、アメリカからのいわゆる経済的な要求に対しては、一旦「これは見直そう」という方向にはなっていたんです。けれども、むしろ軍事以上の問題で、日本をコントロールするもっと大きな重いシステムという、こうした日米合同委員会というものの存在は知らなかったですよね。